日本語の原稿を読んでいるとしばしば思う。
書いている人は、自分が何を書いているか
ちゃんと考えて書いているとは限らないのだなあ、と。
なんとなく流れが良い、リズムがよい、というだけで
その文章が意味を成しているかどうか
考えずに書いていることがとても多い。
実務翻訳というのは、基本的に書かれた通りに訳すもので
あいまいな文章だったら曖昧に、
意味不明な文章だったら意味不明に訳すもの、
とはいえ実際は意味不明なままの文章に訳してはだめ。
実務文書は実務に使うものだから
意味が分からない文章があってはいけないんだよね。
私はインハウスの翻訳者なので、
こういう文章に遭遇した場合は、当然書き手に確認をする。
書き手も自分の言いたいことが良く分かってない場合は
これはこういう意味ですか、つまりこういうことでよろしいでしょうか、
それではこういう文章として訳しますよ、と質問で誘導する。
その結果、ついでに日本語の方もその通りに修正しておいて~
と言われることが多い。
面倒なのは在宅の場合。
ひとつひとつ質問をしている時間もないので
こういう場合は、訳注を付ける。
原文通りに訳したうえで、「こういう意味の場合はこのような訳になります」
と別の解釈に沿った訳を訳注で付ける。
これって、よくよく考えたらひとつの文章を
二度訳していることになるんだよね。
時には三通りに解釈できる文章の場合もあるし
それに対する訳も当然三通り作る。
なんだかちょっぴり損した気分になるんだよなあ。
こういうのが楽しめないということは
やっぱりこの仕事、向いてないんだろうなあ。
2017年1月12日木曜日
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