土曜日、良い天気。
金沢に行った。
着いたのがお昼前だったので、兼六園にも21世紀美術館にも行けなかった。
でも、今回どうしても行きたかったのは、足軽資料館。
足軽ですよ、足軽。行く前から自分の中で異常に盛り上がってた。
足軽資料館は武家屋敷街がある長町にありました。
行く途中に通った道。
私は辻に弱い。辻に角を落とした建物があるとなお良し。
それがちょいレトロっぽい建物だと、それだけでもうメロメロ。
その、角を落とした建物の隣。
細長い木造の建物は、古本屋さんでした。
雰囲気ありますね。入ってみたかったけど、先に足軽。
足軽屋敷は二軒。もともと違う土地にあったものを移築したらしいけど
20年ほど前まで普通に住居として使われていたそうな。
こちらが清水家の入り口。塀ではなく生垣。
こういう生垣、こういう平屋、なんだか妙に懐かしい。
この建物の中に入った時、あれ?この建物、知ってる、と思った。
入り口があって、玄関の間があって、奥に座敷があって
その向こうに縁側があって横長の庭があって。
これは、小学校に入る前まで住んでいた、あの借家だ!
部屋の位置は多少違うけど、まさにこんな感じ。
私が住んでいた家は、玄関を入ると二畳ぐらいのスペースがあり
左手の襖を開けると座敷があった。その右手奥も和室で
庭に面した二間の和室を通して縁側があり、その向こうに庭。
玄関の間から壁を隔てた反対側が四畳半の茶の間で
奥の和室と繋がっていた。そして茶の間の奥が台所。
そうそう、こんな感じの座敷。 これそのまんまだわ。
茶の間と台所を見て、おもわず、うわ、これだ!と言ってしまった。
茶の間の奥の板張りになっているところは、私が住んでいた家では廊下だった。
廊下の突き当たりがお手洗いで、廊下の右手は台所。
その家にはさすがにおくどさんはなかったけど
もともと土間だったところに床を貼ったのか
台所は廊下から一段下がっていた。その台所の奥がお風呂場だったなあ。
茶の間には細長い座卓が置いてあって、そこで正座してご飯を食べていた。
近所に住んでいた祖父母が遊びに来て一緒に食事をするときは、
背筋を伸ばせとか、箸の持ち方が悪いとか、 明治生まれの祖母によく叱られた。
父が出張でいない時には、母がサンドイッチを作って
ノリタケのティーセットで紅茶を煎れてくれた。
ティーセットは緑の蔦模様で、来客があった時だけ使うものだったから
玉子とキュウリのサンドイッチだけの粗末な食事が、何か特別なことのように思えた。
そうそう、紅茶はリプトンの青缶。
天気がいい日には、縁側に段ボール箱を置いて、その中に入れられていたらしい。
「ナショナルパナカラー」と書かれた段ボールに
姉と並んで入っている写真が残っている。
その縁側があったところは、のちに増築して細長いフローリングの部屋になった。
私と姉の学習机が置いてあって、椅子に赤ん坊だった妹を乗せてくるくる回すと
きゃっきゃ言って大喜びするので、調子にのってスピードを上げたら
妹は椅子から振り落とされて大泣き。母に酷く叱られたっけ。
放し飼いされていた近所の犬が、細長い庭に遊びに来て
縁側で食べ物をおねだりしていた。だしじゃこを与えていた妹の手に
犬の歯が当たって、妹が大泣きしたことがあったわ。
庭は道路に面して笹が植えてあって、記念写真はいつもその前で撮った。
ユスラウメが実をつけると、おやつ代わりにしていた。
甘酸っぱいユスラウメの実はいくら食べても食べ飽きない。
いつも食べ過ぎて、お腹を壊すよ、と叱られた。
こっちは高西家住宅。
この外観!外側はこっちの方が近いかな。
家の正面にはこんな風に生垣があって、その足元にはシャガの花が咲いていた。
玄関の上がりまちはもっと高かったけど
この薄暗い感じも、庭から差し込む光の感じも知ってる。
記憶の中だから、家の中が昼間でも薄暗くて差し込む光が白いのかと思っていたけど
実際に薄暗かったんだ。
懐かしいはずだ。加賀藩の足軽住宅は、その後分譲住宅のモデルとなったんだって。
戦前から戦後にかけて、こういうタイプの住宅があちこちで建てられて
そのうちの一軒に住んでいたということになるのね。
その後家族は祖父母の築100年を超える古家を建て直して
今もそこに住んでいるのだけど、家の中で思い出すのはいつも
明るい新しい家の方ではなくて、古い借家の方なのはなぜだろう。
何の悩みもない、一番屈託のない頃に暮らしていたからかなあ。
あの借家はもうない。この前実家に帰った時に車で近くを通ったら
こざっぱりとしたアパートが並んでいた。
なんとなくノスタルジックな気分になった足軽屋敷。
足軽の住まいとしては長屋の方が多いらしいけど
金沢の足軽屋敷は庭付き一戸建て。さすがは加賀百万石。
足軽というのは武士の中でも一番身分が下だったとはいえ
一番下の基準は、低くし過ぎない方がいいよね、なにごとも。
他に観たいところは一杯あったけど、日帰りでは時間が無さ過ぎて。
今度は泊りがけで行きたい。
この木を囲ってある三角形の木組み。雪吊りと言うらしい。
雪国らしい雰囲気。
2019年3月10日日曜日
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