神戸の六甲で開催された、崑曲の勉強会に参加してきました。
先日行った中国音楽フェスティバルでチラシをもらい、
なんぞこれは?と思って、友達と一緒に申し込んだの。
崑曲に関する知識は皆無。未経験者大歓迎とあったので
厚かましくもチャレンジしてきましたわ。
本日の参加者は7名。友達を含め中国楽器や中国歌曲の経験者か
音楽の経験はないけど中国語が出来るという方ばかり。
どっちも未経験なのは私だけでした。
主催されたのは、神戸で中国楽器の販売や中国音楽の教室を主宰されている
江南春琴行というお店。社長さんはご自身も中国楽器の演奏者です。
机を並べたりお茶を配ったりしてくださる上品で可愛い感じの女性、
社長さんの奥様かしらと思っていたら、この方が本日の講師である
前田尚香(まえだひさか)先生でした。先生、気さくすぎですわ。
まず前田先生から崑曲についての説明がありました。
崑曲というのは中国に現存する最古の演劇で
500年ほどの歴史があり、世界遺産にも登録されているそうです。
まず歌があって、その歌をつないて劇にしたオペラで
地方により節回しが違います。
京劇は比較的歴史が新しく、崑曲との違いは
京劇が裏声で歌い、基本的な伴奏が二胡であるのに対し
崑曲は地声で歌い、基本的な伴奏は笛。
京劇が庶民的なものに対して、崑曲は宮中や貴族のお屋敷で演じられたそうで
そのため、楽譜や文献などがわりと残っているそうです。
本日勉強した、「牡丹亭」という曲は名曲中の名曲で
崑曲の中で最も有名なものなんだとか。
作者は「中国のシェイクスピア」と称される著名な詩人の
湯 顕祖(とうけんそ)で、明代に書かれた作品です。
この作品がなぜここまで有名になったのかというと
高名な詩人の作であることに加えて、明代は儒教の教えが厳しく
女性の行動が制限された時代で、若い女性が好きな男性と恋愛をして結ばれる
という物語が、自由を奪われていた女性たちに支持されたからだそうで
当時の女性たちはこの物語に夢中になり
スピンオフの作品まで作られるほどの大ヒットだったのだとか。
説明に引き続き、牡丹亭の歌詞を先生が中国語で読まれて
そのあとをついて発音しました。つまり、ディクションですね。
中国語がまったく駄目な私、発音が難しすぎて死にました。でも負けない。
歌詞を読んだら、次はいよいよ歌。先生が楽譜の読み方を説明してくださいました。
これが楽譜。数字譜で、中国の俳優さんもこれで覚えられるとか。
音階が数字で書かれており、1がド、5がソという風に読みます。
この曲はDなのでDつまりレの音がドになり、「移動ド」ということですかしら。
細かい記号の説明もしていただきましたが、覚えられなーい!
楽譜はありますが、基本的には先生の後をついて繰返し歌いながら覚えていくそうで、
本日も先生がワンフレーズづつ歌われたあとに付いて歌いました。
中国の曲独特の揺れがかなり難しいし、どこで切ったらいいのかよく分からない。
他のみなさんは、さすがに中国音楽の旋律や中国語に慣れた方々だけあって
すらすら歌っていらっしゃいましたわ。
先生が何度も何度も同じフレーズを繰り返して歌ってくださり
そのあとを真似して付いて歌いました。
先生のお声がすごく可愛い。本当に劇中の良家のお嬢さんという感じ。
私はキーが低すぎてダミ声でしたわ。歌詞は全然覚えられないのですが、
真似しているうちになんとなく歌えました。
うーん、やってみるもんだなあ。でも、もう忘れちゃった。駄目やん。
そのあと崑劇のしぐさを見せていただき、自分たちでもやってみました。
先生が持ってこられた衣装を羽織って、立ち方や袖の捌き方を
先生のお手本を見ながらやってみます。
左足を後ろに引いて、引いた方の脚の膝を軽く曲げるのが基本ポーズだそうですが
これが結構難しくてちゃんと立っていられない。ふらふらになりました。
長いお袖もなかなか上手くさばけなくて悪戦苦闘。
でも気分はすっかり女優さんだー。
初めての体験でしたが、曲の抑揚がすごく気持ちよくてはまりそう。
数少ない日本人崑曲女優であり崑曲研究家の前田先生から直接ご指導いただき、
社長さんの笛による生伴奏がついて、お菓子とお茶も出て
二時間で受講料1000円という激安価格ですわよ。
この値段で大丈夫なんだろうかと思いました。お安いのは助かるんですけど。
崑曲勉強会は一ヶ月か二ヶ月に一回、今後も継続して行われるそうです。
次回は5月末の予定ですが、はっきりしたスケジュールは
江南春琴行さんのウェブサイトかFacebookで告知されます。
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勉強会のあと友達と梅田まで戻り
4時過ぎからずっと吞んでました(コラコラ)。
久し振りの楽しい週末だったなあ。